ルイス・パトは正に現代ポルトガルを代表するワイナリー
マスター・オブ・ワインで著名なワインジャーナリストのジャンシス・ロビンソンが、今後最も期待できるワイン産地に「ポルトガル」を挙げている。 彼女が期待する重要なポイントはルイス・パトの存在と考えられる。
2004年2月のファイナンシャルタイム誌で、ヨーロッパのベスト25ワイナリーにルイス・パトを掲載。ヴァンサン・ジラルダン、シャトー ルパン、 ディデエ・ダギュノー、プラネタ(シシリー)など名立たるワイナリーと共にポルトガルではただ2社のみが掲載されている。
ルイス・パトへの評価はジャンシスだけに留まらない。ワイン&スピリッツ誌の2000年版「世界のベストワインとベストワイナリー」では ポルトガルのベストワイナリーに選出され、ベストワインではヴィーニャ・バローサが 94ポイントを獲得し、ポルトガルNo1をパトの友人ルイス・ローレンソ (キンタ・ドス・ロケス)のトウリガナショナルと分け合った。
ポルトガルのワインガイド「ヴィニョス デ ポルトガル」では数社にしか与えられないクラスAの評価を受け、「レテイロ ドス ヴィニョス」では常にトップランクの取り扱いだ。 このようにポルトガル内外の数多くのガイドブックに最高の評価を受け続けるワイナリーは他に例を見ない。
1983年家族のワイナリーを受け継いだ化学技師
ルイス・パトはポルトガル中部バイラーダ地方、コインブラの北側アナディアの地に60haの葡萄園を所有するワイナリー。 1983年に、化学会社で技師として働いていたルイス・パトが家族のワイナリーを受け継いだ。
化学技術者としての経験に加え1988年からはロンドンのインターナショナルワインチャレンジのテイスターとして世界のワインを知る機会を得たことにより、地域の品種バガ(黒葡萄)の可能性を見極め、従来のバイラーダワインとは異なったアプローチで全く新たなワインを生み出している。
伝統品種バガから新しいプレミアム・ワインが誕生
バイラーダ地方の赤ワインの90%を産するバガは、小粒で厚い果皮のため、ワインの色合いも濃厚で酸とタンニンに富んだ重厚バガ種な味わいを特徴とする。 パトは伝統を継承しながらも常に新技術の導入や合理化を進め、その土地の葡萄の味わいを最大限に発揮できるように努力を続けてきた。
化学薬品の多用を止め、多産なバガ種の収量を徹底して抑え、樹上で濃縮させた果実を完全に除梗して過剰なタンニンを抑え、独自の650リットルのフレンチオーク樽を開発。 また畑のテロワールの違いを表現するためにシングル・ヴィンヤードワインを造り出した。
そして自根による栽培が本来の葡萄の個性を最も引き立たせるという信念から、フィロキセラの影響が少ない砂土壌でアメリカ産の台木に接木せずに直接栽培を行い、 そのバガのみを使用して、ポルトガルの至宝ともいえるぺ・フランコを産み出した。ペ・フランコは足が無い(Free Foot)という意味で、アメリカの台木からの解放を意味している。
周囲の生産者は彼の行った全てを声高に批判したが世界中のワインガイドや専門家の評価がその正当性を証明した。
また、多産なバガ種のスティルワイン用果実の凝縮度を上げるため8月上旬に収量の約40%を摘房しているが、その葡萄から造られるバガ・ロゼ・スパークリングも人気がある。